火の縄 (講談社文庫)



火の縄 (講談社文庫)
火の縄 (講談社文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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狂気の夫婦。

人間の欲望、憎悪、全てをとらえた生々しい心理小説。
稲富治介の劣等感や、キリストに救いを求める侍女の小百合、細川藤孝と嫁ガラシャの温まるような関係や、ガラシャに恐れを抱く義妹の伊与、そして忠興とガラシャの狂気の中の関係。細川ガラシャに関する著作の中で、これが一番的を得ている。彼女は、決して聖女ではない。一個の人格を持った戦国の波乱の中に生きた女性だということが痛感させられる。稲富治介を侮辱する細川夫妻や、その夫妻を獣の夫婦だと罵る稲富治介との関係も見物であり、最後にガラシャを裏切る稲富治介の笑みは、必見だ。しかし、家康にさえも突き放され、家来として認められなかった彼には哀れさえ抱いてしまう。
どこを取っても生々しく、美しい描写でさえも、人間の欲望が潜んでいる。時代小説の中でこれほど人間を鋭く描いた小説は見当たらない。



講談社
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