遊びと人間 (講談社学術文庫)



遊びと人間 (講談社学術文庫)
遊びと人間 (講談社学術文庫)

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カイヨワの再解釈もおもしろい

 30年ぶりに読み返してみて、カイヨワの記載に疑問を感ずるところが多々ある。一例を挙げれば、イリンクス=ミミクリーからアゴーン=アレアへ移行するという進歩史観の単純さである。むしろ、逆に考えたほうが、ポストモダンの時代に適合しているのではないか。
あるいは次の記載である。

P192
文明社会においては制服が、眩暈の社会における仮面の代わりになる。制服は、仮面のほぼ正反対に位置する。少なくとも、それは正反対の原理に基づく権威を象徴する。

逆の解釈も成立するのではないか。制服によって無個性化された集団は、権威を嘲笑していると理解することは出来ないのか。

 社会の構成というものが、どのようにでも捉えられるようになった現在、カイヨワの業績を否定するものではないが、やや古いという印象を受けた。
 それにしても、カイヨワのカーニバルに対する熱情的かつ詳細的記載さは何に由来するのか。カイヨワはミミクリーの本質を十分に理解していたことは確かなようである。
すべてに適用できる興味深い視点があります

アゴン、アレア、ミミクリ、イリンクス、の四つの要素が単に遊びの要素だと言いたかった<だけ>ではない。そこがじつに面白い内容のです。実際にはー、人間のすべての生真面目な活動や、重要だと思われるすべてが、このような遊びから、発しているかもしれない、という視点の転換を促すような問題作でもあります。人間の文明の活動の隣に昆虫の世界の現象を提示したりしながら、カイヨワはアナロジカルに人間が営んでいる文明の優位性というようなイメージの払拭を図っているかに見えます。ミミクリ・イリンクス的な原始文化から、アゴン・アレア的な文化が生じることを文明化と呼ぶ、というようなくだりから、この傾向は顕著になります。ちょっと宇宙人的な視点に目眩を感じるには絶好の本です。



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