楽しいお話
他の方も書かれている通り、考え方が身につくというよりは「この人たちはこういうふうに考えるのか」ということがわかる本。お二人の頭の柔らかさには感心してしまいます。
ロンドン、パリ、ニューヨークの街での警備の人間はとても屈強な男たちだが、日本の場合は違う。お婆さんが「こっちへ行っちゃだめだよ。そっちを通りなさい」と言っているような国である。力で押さえなくても従う、道理のわかった国民が日本人であると。以上のようなことを小泉元総理がサミットに出席する前に、日下氏が「こう言えば他国に威張ることができます」と言ったそうです。
こういう面白い発想が浮かぶようになれば、人と会話しても楽しいでしょうね。
読み物としては楽しく、有益。でも「考え方」が身に付くとは思えない。
読み物としては楽しく、有益だった。でもこの本を読むと、タイトルのように「考え方」が身に付くとは思えない。私は「考え方」をどう教えたらよいか、という問題意識でこの本を読みましたが、その点では得られるものがほとんどありませんでした。ただ、上記のように、この本の内容そのものには有益なことが豊富に書かれています。例えば。。。
* 仕事であれ何であれ本当の自由というのは孤独。
* 人というのは対立点がないと考えない。
* ポジティブで役に立つアドバイスをすることの難しさとその重要性。
* 陰鬱でネガティブであるのが賢さを暗に示し、、明るくポジティブでいるのは「バカ」
だと思われる、という誤解、習慣、あるいは信仰。
* 大学は暗い態度で暗いことを教える。
* 権威を崇拝すると無知になる。習慣にとらわれると無知になる。人の評判を気に
していると無知になる。自分の無知を隠そうとすると無知になる。
などなど、なるほど、確かに、と思わされる箇所が多々ありました。
分析的で提案的、かつ笑える発想力を学べる本
本書ほど痛快で腹の底から大笑いした本は久々です。日下氏はユニークな発想に定評があり、堀紘一氏は大前研一氏と双璧をなす経営コンサルタントで、論理的な分析力をベースにした創発力の高さで有名です。この両氏の討論は話が常に前向きに進む点が大きな特徴です。重箱の隅を突付くような分析や「正確かつ役立たず」の経済学者がよく行う条件でがんじがらめの予測、リスクを負わない外野評論家的な指摘とは無縁な点が本書の痛快さを形作っています。笑えた個所を列挙しましょう。 ・「大衆の言うことを聞くのが民主主義」という誤解・・・「そもそも大衆は、情報量が少ないものです。それから、分析力もさほど持っていない。その割には感情的で、情緒的にものを考える傾向があります。少なくとも、(中略)将来に対する複雑なプログラミングは持っていません(P. 22)」。論理的で提案のある著作をもつ堀氏にこう言われては反論し難いですが、確かに大衆主導は幻想に過ぎません。 ・市町村議会のイラク戦争反対決議はみっともない・・・「日本の三百か五百の市町村議会が、イラク戦争反対決議というものをやりました。(中略)いったい何の権利があって、そんな決議をするのか。イラクとアメリカが戦争するかどうかは、アメリカとイラクの主権の問題であって、日本の県議会やら町議会には何の権限も、影響力もありません(P. 38)」とは、もっともな指摘です。財政や高齢者福祉、過疎化といった難題が山済みなのですから、県や市町村の議員には報酬分はきちんと働いて頂きたいものです。「東大の教授陣が、慶応大学の経営を決議しているようなものもの(P. 38)」という比喩には大爆笑でした。 その他、意外でいて腑に落ち、かつ可笑しい指摘が多数挙げられています。こういった両氏の発想力、分析力には学ぶ点が山のようにあります。頭の軟らかさを調べる意味でも一読をお勧めします。
考え方とは
テーマに沿って二人の論客がそれぞれの考え方を書き連ねたものであるが、考え方はこうやってつけるものであると言ったノウハウものではない。そもそも物の見方や考え方というのは、正解があってないようなものであり、必ずしも堀、日下両氏の考え方が正しいということもできない。ただ、彼らの洞察力や着眼点については学ぶところも多い。単に納得するのではなく、同じテーマを与えられたら、自らはどう考えるかという作業もまた必要なことのように思える。その意味ではオピニオンリードーと自らの考え方の違いを知る上でよい機会を与えてくれたように感じる。
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